QGISでは、凡例や縮尺などを配置したレイアウトを使って、地図をPDFとして出力することができます。
ただし、出力範囲の調整や保存操作はやや複雑で、初心者にとっては難しく感じられることもあります。
今回は、事前に作成したレイアウトをもとに、表示中の範囲でPDFをボタン一つで出力できるオリジナルプラグインの活用例をご紹介します。
誰でも簡単に、統一された形式で図面を作成できる仕組みを実現できます。
どんなことができるのか(活用イメージ)
オリジナルのQGISプラグインを開発すれば、表示中の地図範囲を自動的にレイアウトに反映し、PDFをボタン一つで出力することができます。
このサンプルでは、洪水浸水想定区域と福祉施設の情報をもとに、
現在表示している地図範囲をそのまま反映したPDFを、ボタン一つで自動作成しています。
レイアウトには、タイトル・凡例・縮尺・属性テーブル(施設名一覧)を配置しています。
属性テーブルの内容は、表示範囲内に含まれる施設のみが自動的に表示される仕組みになっています。
このような仕組みのオリジナルプラグインを開発すれば、
「出力のたびに地図範囲や凡例を調整する」といった操作が不要になり、
QGISの操作に不慣れな方でも、図面PDFを簡単に作成できるようになります。
この機能を活用するメリット
この活用方法では、事前に作成したレイアウトを使って、PDF出力操作を簡単に行えるようになります。
出力範囲の調整やメニュー操作に不慣れな方でも、ボタンひとつで図面を出力できる仕組みが実現できます。
【誰でも迷わず出力できるようになる】
QGISでレイアウトをPDF出力するには、レイアウトマネージャーを開き、
地図の範囲を調整し、出力先を指定して…といった一連の操作が必要です。
こうした操作はQGISに慣れていない方にとってハードルが高く、操作ミスや出力のバラツキが起こりがちです。
このプラグインを使えば、「今表示している範囲で出力する」操作をボタン一つにまとめることができ、誰でも迷わず図面PDFを作成できるようになります。
【業務の標準化・属人化防止に役立つ】
レイアウトのテンプレートをあらかじめ作成しておけば、
どのスタッフでも同じフォーマットの図面を出力できるようになります。
たとえば、新人さんや非常勤スタッフが出力作業を担当する場合でも、
フォーマットが統一されていることで、確認・修正の手間を減らすことが可能です。
【操作時間を短縮し、繰り返し作業を効率化できる】
日常業務で「出力→確認→再出力…」といった繰り返し操作が発生する場面では、
クリック1つで出力できるというだけでも大きな時間短縮になります。
毎回同じ形式の出力が求められる場合に特に効果を発揮します。
こうした機能は、既存の操作を補う小さなプラグインを開発するだけでも導入可能です。
このように、オリジナルプラグインを開発し出力操作を誰でも簡単に、確実に行えるようにすると、あらかじめレイアウトを整えてさえおけば、QGISの習熟度に関係なく、安定した業務運用が可能になります。
どんな業務で活用できる?
このような仕組みは、
「地図出力の手間を減らしたい」
「毎回同じ形式の資料をスムーズに作りたい」
といった場合に特に効果的です。
現在はQGIS標準の操作に慣れた人が手作業で出力している業務でも、
プラグインを開発・導入することで、誰でも簡単に図面PDFを出力できる仕組みを構築できます。
以下のような業務で活用が期待できます。
・防災関連業務(洪水・津波リスクと避難施設の整理):表示中の地域にある浸水想定区域と福祉施設をレイアウト付きPDFで出力
・点検・巡回記録の定期報告:点検エリアの地図と対象施設一覧を、定型フォーマットでワンクリック出力
・建設・測量業務(工区別の成果物整理):工区や担当エリアごとに成果物を出力
・行政資料・住民向けマップの作成:対象地域の地図と凡例・施設一覧をまとめたPDFを一枚で出力
まとめ
今回ご紹介したオリジナルプラグインの活用方法は、あらかじめ作成されたレイアウトテンプレートを活用して、表示中の地図範囲を反映したPDFをボタンひとつで出力できる便利な仕組みです。
QGISの標準操作では、レイアウトを開いて範囲や内容を都度調整する必要がありますが、このようなプラグインを活用すれば、出力作業を大幅に効率化することが可能です。
誰が操作しても同じ形式で出力できるため、資料の品質を保ちながら業務のスピードアップや標準化にもつながります。
報告書や成果物の図面化など、さまざまな業務で応用できる実用性の高い方法です。
【このような仕組みを導入したいときは?】
QGISのカスタマイズやプラグインの導入は、専門知識が必要な場合があります。
弊社では、お客様の業務内容に合わせたプラグイン開発・導入支援を行っています。
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